野火野火

© SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

野火

なぜ大地を血で汚すのか

大岡昇平さんが小説にした、第二次世界大戦フィリピン戦線における日本軍の苦しい彷徨いを映画にしました。50年前に市川崑さんがやはりすばらしい映画にしていますが、私『野火』はそのリメイクではなく、あくまで原作から感じたものを映画にしたものです。初めて読んだのは高校生のときですが、本当の戦場にいるような恐ろしさがあり頭から離れませんでした。

30歳をすぎ本格的に映画にしようと動き始めましたが、規模も大きく中々現実的にはなりませんでした。さらに歳月が流れ、今から10年前に、戦場に行った方々が80歳を越えたときに強い焦りの気持ちが起こりました、その方々のお話だけでも聞いておかなければとインタビューを始めました。しかしそれでも映画化は簡単には進みませんでした。そして、今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません。今作らなければもうこの先作るチャンスはないかもしれない。また作るのは今しかないと思い、お金はありませんでしたが、多くの力強い協力を得て完成に至りました。
映画は一定の思想を押し付けるものではありません。感じ方は自由です。しかし、戦争体験者の肉声を体にしみ込ませ反映させたこの映画を、今の若い人をはじめ少しでも多くの方に見てもらい、いろいろなことを感じてもらいたいと思いました。そして議論の場に使っていただけたら幸いです。

監督 塚本晋也

豊劇スタッフ作品紹介

なぜ、人は人を殺してしまうのか。人間と戦争は切っても切れない、繰り返しの歴史です。だからこそ、この映画を観ましょう、そして学びましょう。見たくない事にも、目を向けなければ、真実は分かりません。浮き足で威勢をはり、どうしようもなく争いに巻き込まれ、殺してやりたいと思うのが人間の性なら、一方で理性を持って話し合い、憎いけれど相手を受け入れ、先ずお互いの事が嫌いだと認め合いながらも、共に生きて行く道を選んで来たのも人間の歴史です。この映画は、身構えて観てください。そしてそこには、新たに、そして再び感じる思いが残るでしょう。

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製作/国:2014年/日本
配給:海獣シアター
監督:塚本晋也
出演:塚本晋也 リリー・フランキー ほか
時間:87分

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