【コーディネーター】伊木翔(伊木

【ゲスト】石橋英彦(石橋)、岡田良寛(りょうかん

 

伊木:こんばんは。お越しいただき、ありがとうございます。本日、『リノベーションがまちに与えるもの』というタイトルでイベントを開かせていただきました。

僕達がgreen drinks Toyookaという団体名で月に一度開催しているイベントがこの「ゆらくみ」というイベントです。「なりたい像に出会う、旅に出ませんか。」というキャッチコピーで今年の2月から始めて、今回で7回目。これまで、テーマを決めたり決めなかったり、ゲストを呼んだり呼ばなかったりしながら、これからの生き方や住んでいるまちのことについて改めて考えてみる、という会を開催してきました。

先程鑑賞してもらいましたが、今回、ゆらくみとして初めての試みだった映画鑑賞『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』いかがでしたでしょうか。新生豊岡劇場の初プロデュース作品として、オーナーの石橋さんが携わった大きな第一歩、その成果がカタチになっている作品です。個人的には自分の生まれ育った「まち」と自分自身という「一個人」の関係性を改めて考えさせられる、そんな作品だったんじゃないかなと感じています。皆さんの感想も交流会でお聞きしたいなと思ってますのでよろしくお願いします!

そして今回は『リノベーションがまちに与えるもの』とタイトルをつけさせていただいて、いろんな要素をギュッと詰め込んだものにしました。映画鑑賞もそのひとつ。そしてここから本題に入らせてもらいます。まず「リノベーション」という言葉。ここに来ている皆さん、ちょっとは聞いたことがあるんじゃないかなと思います。意味を完結に言うと、「建築物を改装・改修して、以前とは違った価値を加えて、利活用していくこと」。最近、各地でこれを実践している人たちがたくさん出てきています。新しく付け加える「価値」は本当に様々で、例えば古い民家を宿泊施設にしてみたり、シェアハウスにしてみたり。今回は豊岡市からこの豊岡劇場と、お隣の鳥取県の県庁所在地、鳥取市からそれぞれ個性的な物件をリノベーションし、新しい事業を展開しているお二人をゲストにお招きしてトークを繰り広げていこうと思います。

ではゲストをご紹介しましょう。まず豊岡市からこの豊岡劇場のオーナー、石橋秀彦さんです。石橋さんは不動産業をしてて、芸術家で、レモンチューハイをこよなく愛する豊劇のオーナーです!軽く自己紹介をお願いします。

 

石橋:皆さん、こんばんは。豊岡劇場代表の石橋と申します。もうひとつ豊岡の南側の日高町というところでアパートを持っておりまして、いろいろとやっております。改めて皆さんの前に出ると恥ずかしいですね(笑)

 

伊木:ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。では続いて二人目のゲストをお呼びしましょう。鳥取市からBook Cafe ホンバコ店長の岡田良寛さんです。岡田さんの愛称は「りょうかん」。りょうかんくんは元旅人ヒッチハイカーで、坊主で、メガネのホンバコ店長。総ヒッチハイク台数はなんと210台という24歳!彼女が…何人いるんだっけ?

 

りょうかん:(旅のネタとしてですけど)25人です。

 

伊木:すごい!25人いるらしいです。

 

石橋:羨ましい。

 

伊木:ひとりずつ紹介してもらいたいくらいですね。軽く自己紹介をお願いします。

 

りょうかん鳥取市から来ました。Book café ホンバコというお店をやっています。りょうかんと言います。意外とホンバコに来られたことのある方がチラホラ来ているみたいなので、ちょっと緊張してますがよろしくお願いします。

 

伊木:はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。ではこのお二人と一緒に進めていきたいと思います。今回、多分なんですけどこの地域でリノベーションに関するトークショーとかイベントって初めてなんじゃないかなって思ってるんですよ。実際に物件の改装をお手伝いするワークショップなんかはあっても《リノベーション》にフォーカスして話す機会って兵庫県北部但馬地方では見ないんですよね。誰かやってたのを知ってたら教えて欲しいんですけど…ない…ですよね。その点、鳥取だったらたくさんやってるのかなと思うんですけど、どうですか、鳥取

 

りょうかん:やってますね。

 

伊木:どんなものをやってるんですか。

 

りょうかん:《リノベーションスクール》っていうのが去年の11月に開催されて、今年の7月にも第2回が行われたんですけど、その関連イベントとして全国でリノベーションをしている人の講演会だったりとか。あとは、スクールの中でもプレゼンをするんですけど、ホンバコをオープンする前には、ブラッシュアップしたものを皆さんの前でもう一度提案をするっていう会をしたりとか、結構頻繁にやってますね。

 

伊木鳥取のリノベーションスクールは今年で2回目なんですけど、りょうかんくんが参加したのは去年?

 

りょうかん:1回目の方ですね。

 

石橋それは誰が主催してたの?

 

りょうかん:それは鳥取市が主催ですね。

 

伊木:行政と…えーっと、なんだっけ。

 

りょうかん:リノベリング。

 

伊木:そう、リノベリングが手を組んでやっているんですよね。

 

りょうかん:リノベーションスクール自体はもともと北九州で始まって、そこで何回か開催した経験やノウハウをきちんと持った人が付きっきりになりながら、今は全国のいろんなまちに広がっているんですけど、鳥取の場合、一応鳥取市が主催です。

 

伊木:すでに日本各地で展開されている?

 

りょうかん:今10箇所くらいですかね。

 

伊木:多いですね。他にも少し調べたんですけど「とっとリノベーション」とかも名前を見つけたんですけど。

 

りょうかん:とっとリノベーションはリノベーションスクールだったり、それにまつわることを発信していく媒体ですね。

 

伊木:そういうことなんですね。やっぱり鳥取市に住んでいる方々の中でもリノベーションという言葉の認知度が高まってきているんですか。

 

りょうかん:そうですね。県庁の林さんという方がリノベーションスクールを引っ張っていってる講師の方々と出会って、本場の北九州のリノベーションスクールに参加をしたりとかしている中で「これは絶対にやったほうがいい」って強い思いが通じて開催までこぎ着いたんですね。で、スクール開催する1年位前から講演会をいくつか開催して認知度を少しずつ上げて、場を温めてからリノベーションスクール開催!という流れだったみたいなので。もう僕の帰る前から結構鳥取界隈はリノベーションというものが認知され始めてたように思います。

 

伊木:すごい。そういう動きいいですよね。この地域では暖まってないというか認知度がまだ低いというところもあるので。市民の「将来、この地域どうすんの!」とか「このまちこのままじゃダメでしょ!」っていう不満や課題意識なんかを、いいカタチでまちに反映してもらえるような取り組みなんじゃないかなと個人的には思います。では石橋さんに質問なんですけど。石橋さんは不動産業をやりながら、以前にシェアオフィスなんかもやってましたけど、どうして「やろう!」ってなったんですか?

 

石橋:私の場合は日高町の方でアパート業をやってて、木造アパートで、数もまあまああるんですけど、都会から大手のアパート業者さんがやってきて、新しい良い物件が建っていくわけですよ。で、うちの建物はそれに太刀打ち出来ないわけなので、だんだんと空き室が出てくる。それが見えてきて、そのまま放っておいたらただ単に朽ちていくだけなので、自分でなにかしらやってしまおうと。私が地元に帰ってきたのが5年前くらいになるんですが、空きになってた事務所をリノベーションして、この時は簡単なものですけどね。デザイン性にこだわったものではないんですが。で、シェアオフィスをしようと。そこはうちが所有するビルの2階だったんですけど、その下も4〜5年空いてた飲食店舗だったんです。ちょうど姪の同級生に京都で調理の修行をしていた20歳の男の子がいたので「一緒に飲食店しない?家賃はかからない代わりに共同経営というカタチでやらないか。」と声を掛けてビアドリットという店を始めました。だからどちらかというと必要に応じてですね。こちらもこうしないと生きていけない、というところでリノベーションにとりかかっていったということですね。

 

伊木:ありがとうございます。僕も個人的に…あ、自己紹介遅れました。豊岡劇場伊木と申します。すごく遅かったですね(笑)すみません。僕も個人的に豊岡劇場で働かせてもらってて、石橋さんからよく聞く言葉のひとつに「場の活用」って言う言葉があるんですね。で、この豊岡劇場の構想段階にもその言葉をよく耳にしたんですが、そういう意識も強かったんですか。

 

石橋:そうですね。現状私たちはここに住んでいて、ここの生活を楽しむという点ではいろんな場所がないといけない。自分の家にずっと留まるわけにはいかないじゃないですか。で、職業柄不動産をやっていて、父の代は設計士をやっていて、建築関係のこともある程度分かると。そうなると具体的な物件があるのに活かされていない現状があって、そこに再び息を吹き込むことで活用していけるのであれば、やってみようと。そうするとなにかしらの変化があるんじゃないか。シェアオフィスなんかも今は2人しか入っていないので上手くいってないっちゃ上手くいってないんですけど。でもじっとしているよりは、なにか足掻いてみて、動いてみて、活用してみるということを出来る立場ではあったのでやってしまおうと。

 

伊木:出来る立場だからやるっていう判断はなかなか出来ない素晴らしい判断ですよね。そういう面でホンバコも改装する前のリノベーションスクールで事業計画を練ったと思うんですけど、そこでどうやって立案していったんですか。

 

りょうかん:リノベーションスクールの中でライブアクトと呼ばれるレクチャーの時間があって、そのアクトの中だったり、事業計画を練っている話し合いの場でも「ロマンとソロバンを両立させなさい」ってよく言われるんです。もちろん場の活用は必要だし、それがまちにどう影響をあたえるのかも重要だけど、それを両立するようにきちんと「それがビジネスとしてまわっていくのか」っていうこともチカラを入れて考えなさいっていうのはよく言われます。あとは「ストーリーを作りなさい」と。「ここでなくてはいけなくて、今じゃないといけなくて、この人じゃないと出来ない」っていうものをきちんと組み上げないさいって言われますね。リノベーションやる上での本質だと僕は捉えてるんですけど。

 

伊木:それはちなみにどういった方々から教えていただくんですか。

 

りょうかん:講師の方々なんですけど、《ブルースタジオ》っていうところの大島芳彦さんとか《らいおん建築事務所》の嶋田洋平さんとか。もうリノベーションまちづくり業界の重鎮たち(笑)業界を引っ張っていってる人たちですね。

 

伊木:そういった重鎮の方々がリノベーションスクールに関わってて、そこから教えてもらうと。

 

りょうかん:そうですね。さっきの話の中であったように(石橋さんの立場は)大家さんさんじゃないですか。リノベーションスクールで一番大事なのは志を持った大家さんをいかに引っ張ってくるかというか、見つけてくるかを一番大事にしてて、スクールの開催自体も、もちろん手法を学ぶ部分もそうですし、実際に事業化していく部分もそうなんですけど、そういうカタチを見せることで「もういいや」って諦めてしまっている不動産オーナーの皆さんに「ちょっとづつ試してみようよ」っていうことを提示する。そうやって意識を変えてもらうためにやっている側面も強いです。

 

伊木:僕もりょうかんくんのリノベーションスクールでのプレゼンを見せてもらったんですけど、そのプレゼンは「こういう事業計画で、今後こんなふうに展開したい」っていうのを伝えていくもので、口説き落とされる側は不動産オーナーさんなんですよね。オーナーさんを口説き落として、あなたの所有物件でこの事業をやらせてくれませんかと。1回目のリノベーションスクールで合計3案件あって、その中でりょうかんくんホンバコが唯一事業化が実現していると。

 

りょうかん:もうひとつも動き出してます。この冬オープン目指してゲストハウスが。

 

伊木:そうなんですか。それは楽しみですね。ちなみにりょうかんくんが店をオープンさせたのが…いつでしたっけ。

 

りょうかん:5月の23日です。

 

伊木:まだ半年経ってないくらい。

 

りょうかん:半年経ってないですね。

 

伊木豊岡劇場が…

 

石橋:12月27日。

 

伊木:もうすぐ1年。で、個人的にこの2つの物件が共通してるなって思うところがあって、それは2つとも物件が最初から決まってて、そこをどう活用するのかっていう順番なんですよね。その時にホンバコなら元は喫茶店、珈琲屋さん。豊岡劇場なら映画館、なんですけど、さっき説明したリノベーションの意味の中に「新しく価値を付け加える」だとか「活用の新しい方法」っていうのがあるんですけど結果的にホンバコBook Café豊岡劇場映画だけじゃない映画館という使い方に至ってはいるんですけど、そういう活用方法はどうやって模索していったのかなと思うんです。りょうかんくんどうですか。

 

りょうかん:そうですね、さっきの話も近いんですけど僕ら実はそんなに練ってる時間はなくて。スクール自体は3日間なので3日でビジョンの部分からコンセプト、収支計算、改修費いくらかかる、その金どうする、みたいなところまで、ざっくりとオーナーさんに提示できるくらいまで落とし込まなきゃいけなくて。かつ、僕らのチーム提案は2日目まで全く違う提案をしてて。で、毎日夜にその時点での進捗報告のプレゼンがあって、たいてい講師の方々にボロカスに言われるんですけど(笑)僕らの班はその中でも本当にボロカスに言われて、「全然おもしろくない」「それやる意味ある?」みたいな感じでめちゃくちゃボロカス言われたんですよ。で、そっから全部一回白紙に戻して、ゼロから考えようってことになって。本当にもう(最終プレゼンの)12時間前くらい。それくらいに話を戻して、「このエリアはどういうものがあったのか」っていう話まで遡って。実はホンバコの近くにもともと今井書店て言う書店がああるんですけど、僕が高校の頃はだいたい帰りにそこに行くのが習慣だった。

 

石橋:まちの本屋さんだね。

 

りょうかん:そう、まちの本屋さん。だったのが今は潰れてなくなってしまってる。それ以来今の高校生には本に触れる場所がなくなっちゃってるのが現状で。まずはそこから「」ていうキーワードがもともとこのエリアにあったんだからそれを使うことと、ホンバコの物件がもともと持ってた「珈琲」っていうキーワードを組み合わせて発想を出していったっていう感じですね。

 

石橋:どんなエリアなんですか。ホンバコ周辺は。

 

りょうかん:飲み屋街の入り口な感じです。駅から県庁だったり市役所がある行政エリアに向かう大きな通りがあって。駅から少し離れたところの路地を入って飲み屋街にいく手前くらいですね。

 

伊木:僕も一回行かせてもらったんですよ。その時鳥取市を実際回るのは初めてで。今どういう場所にいるか分かってなかったんですけど、周りを少し案内してもらって思ったのはホンバコの辺りも中心市街地の一部だよね。

 

りょうかん:そうですね。

 

伊木:そうだよね。で、周りにも面白い場所というか、面白い人達が展開している店舗だったりが点在してて、回遊が出来るようなまちだなあという実感はありました。ただ豊岡市もそうなんですけど、情報が前に出ていない感じはありますよね。ちゃんとアンテナ張って情報をインプットしてる人たちの中は盛り上がってるんじゃないかなとも思いましたね。

 

りょうかん:そうですね、情報が出てないのは本当にそうだと思います。

 

石橋:出ていないというのは情報機関がないということなんですか。

 

りょうかん:もちろん知っている人の中では盛り上がりつつある認識はありますし、(全国の)リノベーションスクールの流れの中でも鳥取はすごく注目されているエリアでもあるんです。けど住んでいる人たちにどれくらい知ってもらってるかというとまだそんなに知名度が高いなっていう感覚はないですね。知り合いは知ってくれてますけど、全く知らない人には。

 

伊木:ほんとにそれはどの地域でも浮かび上がってくる問題なんじゃないかなと思いますよね。

 

りょうかん:今、鳥取で課題って言われてるのはそこで、いろいろな重鎮の方からも「メディアを作れ」ってすごく言われてますね。

 

伊木:そうですよね。ここを見れば地域の全てが分かるっていう媒体がなくて、作りずらい環境だったり、機能しにくい部分があるのかもしれないですね。

 

りょうかん:規模感で言うと豊岡鳥取ってあまり変わらないなという印象なんですけど、どうなんですかね?

 

伊木:市単位の人口で言うと鳥取市って…

 

りょうかん19万人いるんですけど、広いんですよ。めっちゃでかい。

 

伊木豊岡市も何年か前に合併してやっと8万人

 

りょうかん:中心市街地で考えるとあまり変わらないんじゃないかなと。すごい似てるなって感じましたし、駅を降りてすく商店街があって、アーケード街があってっていうのも。

 

伊木:建物も昭和の建築物がたくさんあるのは鳥取市豊岡市が似ているところですよね。

 

りょうかん:そうですね…なんの質問でしたっけ(笑)

 

伊木:「新しい価値」や「活用方法」の生み出し方という話題だったんですけど、その点に関しては豊劇は…

 

石橋:その点に関しては事業計画を立てたり、リノベーションしていくという中で物語を既に持っている場所で、ずっと「豊劇」の愛称で親しまれてきて地域の人達に覚えられてるんですよね。で、小さい頃に多分来られてる方も多いだろうし、映画館があるという認知度がある程度あることは豊劇ブランドがこの地域に存在してると。それは新しい事業をするにしても、リノベーションをするにしても、成功に導けるひとつの要員かなと思ってます。そこは(ホンバコとは)ちょこっと違うところかもしれないです。さらに言うと、もっと(ホンバコのように)参加型でリノベーションや改装を行うことも可能だったと思うんですけど、私の場合はひとりで突っ走ってしまったというところも(笑)

 

伊木:僕達も一緒に突っ走らせてもらいましたが(笑)豊劇の改装に関しては自分たちでできる部分は自分たちでもやって、業者さんを入れるところは入れてってやってました。で、昨日の夜、今後ろで流している豊劇ホンバコの改装時のスライドショーを準備してたときに、ホンバコってマジでボロボロだったんだなあって思って(笑)そこをみんなで改装して壁塗って、本を入れるホンバコ作ってってやってるので、そこも豊劇ホンバコの違いかなと。

 

石橋:それはありますね。僕らもみんなで壁の塗装をしたりっていう話も出てたんですけど、オープン日も決まってて期限がある状況でプロに任せた方がいいという判断でした。豊劇は現状、有限会社石橋設計がやってるんですけど、ただ理想としてはNPOなどの任意団体で運営していくことも有り得たことだと思うんですよ。ただ不動産と事業が大きかったことで責任の所在をはっきりしなくちゃいけない、というところで既に存在していた法人の中に組み込んだということになりますね。

 

伊木:ありがとうございます。逆に今後、こんなふうに活用していきたいというのはありますか。

 

りょうかん:そうですね、さっきのメディアの話もそうですけど《》ていうのは情報を伝えるという側面があるので、もう少しメディアっぽい活動もしていきたいと思ってますし、普通の飲食店と考えるとハコが少し大きいというか、個人でやるには大きくて。もともと1階を喫茶店、2階は住居として使われてたんですけど、今は2階も店舗として使ってるので、キッチンの大きさからすると席数が多くなりすぎてるんですよね。そこで2階はイベントスペースとして活用していこうかなとも思ってます。人が自然に集うカタチをつくりながらそこでの取り組みをしっかり発信していきたいなと。

 

石橋ホンバコがそういう活動をやってるということを僕も聞いてたので、そういう情報発信はちょこちょこ出来てて、注目を受けていることは素晴らしいなと思いますよね。

 

伊木:僕も2階に入らせてもらったことがあるんですけど、すごく素敵なスペースで。階段上がって2階に上がったら部屋の分かれていないひとつの空間になってて、一番奥に窓があって外が見えてて、そこから入ってくる風とか空気がすごく気持ちいい場所なんですよ。昨日もイベントやってましたけど2階で?

 

りょうかん:昨日は1階でやりました。2階では今度ライブやったりもしますね。

 

伊木:良いですね。石橋さん、豊岡劇場は今後の展望、いかがですか。

 

石橋豊岡劇場ではほんとにリノベーションスクールしたいなと思いました(笑)その(リノベーション業界の)方々に人脈をつないでいただいて、豊岡市の中でリノベーションスクールをするときの受け皿として豊岡劇場を使って欲しいし、そういうことをやる方がいれば手を上げて欲しいし、伊木くんにも是非頑張って欲しいですね。

 

伊木:なぜか僕のハードルが上がりましたね(笑)

 

石橋:あと羨ましいなと思ったのが、鳥取に住んでいる方々の中でリノベーションがなんなのかということがある程度浸透しつつあると。場所ができてリノベーションがみんなの手でなされている。一方で豊岡市では豊岡劇場が出来たけれども「リノベーションされた」という認識はないと思うんですよ。そう考えるとまだまだこの地域ではその部分のハードルは高くて、もっとリノベーションというものを“まちの中に放り込む”ようなことが出来ればいいなと思ってます。豊岡劇場としてはひとまずここが出来てこのホールなんかも様々な人に使って欲しいんですけど、出来ればエリア全体、周辺の50m〜100mまでの範囲でいいので、ちょこちょこと新しいことを始める方々が増えると一番理想かなと思ってますね。いち地域を本当に小さなところで変えていくっていう意識を持ったほうがいいなと。

 

りょうかん:まさにそれ、リノベーションスクールで言われてることですね。それこそ本当に「歩いていける200m四方の範囲をまず変えなさい」っていうのをすごく言われるんです。それはやっぱりインパクトが違ってくるっていうのと、街全体をどこまでとらえるかなんですけど。離れてしまうと「盛り上がってきてる」っていう認識が薄れてしまうんですね。それこそ本当に50m四方でも良いのでなんかやるってのは本当に言われてることですし、それを進めるために鳥取で《鳥取家守舎》っていう会社がひとつ出来たのはそこを睨んでのことなんですよね。

 

石橋:素晴らしいですね。それは豊岡劇場としても狙いですし、石橋設計の狙いなんですけど、もともと僕のリノベーションのアイデアというのは僕がアーティスト(芸術家)をしていてマンチェスターやロンドンに住んでいた経験から影響を受けてて。大学出たての現代美術をやってる奴らって金がないんですよ。でもアトリエを持つんですよね。持つんですけど金がないので街の中の一番治安が悪いところに入っていくしかないんです。そうなると芸術家が30人くらい集まってビルをひとつ借りてシェアするということになるんですけど、そうすると僕らがその近くに飲みに行くもんだからそこの近くのパブが潤ってきて、そしてさらに周辺になにかが出来てってなってきて。そういうふうに徐々にまちが変わってくるわけなんですよね。アーティストが入って、デザイナーが入って、デザイナーが入ると建築士が入ったり。そんなカタチで街が変わっていく。そんなカタチでNYだとSOHOとか、ロンドンだとサウス・バンクの方とかの事例が出来ていくんですよね。そこで文化的な人たち、音楽家とか芸術家とかいうのはスラムに住もうがタフなんですよ。そういうところから本当にこの地域に住む若い人が増えてくれればまた変わってくるのかなと思いますね。

 

伊木:2つのこれからの展望を聞いてて、すごく楽しみになりました。ホンバコ豊岡劇場だけに行くんじゃなくて、その後にも行く場所が歩いていける範囲にあるっていうのは来る人からの見え方が違ってくるんじゃないかなと思います。ではここでちょっと話題を変えていこうと思うんですけど、リノベーションって改装資金が結構かかると思うんですよね。どうやってそのハードルをクリアしていったのかなと思うんですけど、その辺を聞かせてもらえますか。

 

りょうかん:まず改装資金自体がいくらかかったかというと、直すところと設備代と全部諸々含めて450万かけています。で、そのうちの200万円はオーナーさんが負担してくれました。そのうち100万はもともと屋根の雨漏りなどの修復にかかるお金だったのでオーナーさんが負担する予定だったんですよ。あと僕が本当にやるって言ったときの所持金が1万円くらいで(笑)本当に(資金が)ないっていうのを知ってくださってたのと、さらにこの物件はもともと潰すつもりで、潰すときにどのみち200万はかかる予定だったらしいので、好意で200万まで出すと言ってくれたんですね。で、残り250万のうち200万は咲ほど名前が出た鳥取家守舎っていう会社が出してくれてて、この会社が内装工事をしたんですよ。で、鳥取家守舎が転貸のカタチで僕に貸している状況ですね。その分、家賃は少し高くなってるんですけど、僕らは内装費を負担せずに済みました。さらに本当は僕らが100万負担する予定だったんですけど、ワークショップをしたりで削減出来てて、結果残り50万をクラウドファンディングで集めました。

 

伊木:なるほど、ありがとうございます。豊岡劇場はどんな感じでしょうか。

 

石橋豊岡劇場の場合は、ここは有限会社石橋設計が前のオーナーさんから買いました。というのは、物件が大きいのと事業が大きいということなので、とにかく買い切りと。リノベーションに関しては恐らく800〜1000万くらいかかってて、機材に関しては1700万くらい。上映機器や音響など諸々含めるとそれくらいいってるので。かれこれ2500万くらいかけちゃってます。それでも本当にチカラを入れたのはロビーだけなんですけど、それを回収するのは大変なんですよね。その中でも工夫はあって、ロビーのajitoなんかも実際には伊木君がやってる個人事業でロビーを間借りしてると。で、そこから家賃をもらっています。今後この(少ホールの)真下の駐車場のところを店舗スペースに変えようということも考えてまして、3店舗くらい入れて家賃をいただこうという計画があります。あとは映画館としての収入とレンタルホールとしての収入とでなんとか運営費を賄っているということですね。

 

伊木:はい。あとこの小ホールに関してはクラウドファンディングでもご協力いただいてますね。

 

石橋:そうですね。270万くらいが110名の方々から集まりまして、それはこの小ホールのリノベーションのために支援してくれたと。結構ギリギリまで(目標200万で)120万くらいのところを推移してたんですけど、あと1週間くらいのところで大口を入れていただいた方がいらっしゃって、そこから駆け込みがあった結果がこの金額になりました。そこで一番苦労したのがとにかく地元の人達に一番理解を深めてもらえるように、場所を開放して見てもらうとかクラウドファンディングに関する説明会を開いたりすること。けど結局それが一番有効だったのかなとは思いますね。

 

伊木:お二人に共通しているのはクラウドファンディングというワードだったんですけど、これはインターネットを介して全国の不特定多数の方から小口の出資を募って、その数が多くなると本当にたくさんの支援になると。その代わりに出資者にはお返しがあって、ホンバコも豊岡劇場もそれぞれに特化したお返しをしています。例えば豊岡劇場だと映画のチケットだとか地元の食材なんかを送ったんですけど、ホンバコはどんなものをお返しにしたんですか。

 

りょうかんホンバコはコーヒー豆とか店舗に名前の記載だったりとかですね。あと1日店長企画とか。

 

伊木:いいですね。

 

りょうかん:まだ使った人はいないですけどね(笑)

 

伊木:これからリノベーションや新規事業を考えている方がいたらクラウドファンディングはすごい良い味方だと思うんですよね。そこに愛着のある方だったりが出てくると思うので良いサービスですよね。

 

石橋:どこのクラウドファンディングを利用したんですか。

 

りょうかん:僕はReadyForですね。

 

石橋:ReadyForの方がどちらかというとコミュニティ系のプロジェクトに強いんですかね。

 

りょうかん:そうですね、あとは僕の知り合いが運営スタッフをしていたので選んだのが大きいです。あとは今、鳥取ではFAAAVOが立ち上がったので…

 

石橋FAAAVOというのは。

 

りょうかん:地域に特化したクラウドファンディングサービスですね。他のクラウドファンディングサービスのCAMP FIREとかMotionGalleryとかは経営母体があって、そこが全部案件を精査したり、発信したりしてるんですけど、FAAAVOは地域ごとに支社を置きなさいっていうスタイルでやっているようで。そこが必ず事業精査をしたり、後押ししたりとかをするカタチになっているそうなんですけど。その代わり本社は最初の手数料だけを取って、残りは地域に出来た支社の取り分ですよっていうシステムで運営してて。FAAAVOを使ったクラウドファンディングで支援を集めようと思うと、まずはその地域に支社がないとダメなんですよ。鳥取ではそれがハードルだったんですけど、今回鳥取市鳥取銀行が提携をして(支社を)始めました。逆に言うと鳥取銀行さんが入っているので、FAAAVO鳥取で支援が集まったら銀行も出資をするというダブルで資金が集められる可能性があるんですよ。銀行は通常、新規創業の事業には手を出しづらいんですけど、そこにクラウドファンディングで、ある程度資金が集まると残りの部分は銀行が出資をするよっていうカタチが出来る可能性が高まったので、鳥取市では(新規事業が)すごくやりやすくなるなと思いますね。あまりまだ案件は出てきてないですけど。

 

石橋:すごく良いことですよね。僕もMotionGalleryから「国土交通省がクラウドファンディングに関する調査をしてるので協力してください」と言われて、同じようなことなんですけど、民間でいくらかの資金を集めることができたら行政のほうが半分持つというシステムを考えてはいるみたいで。それを地方銀行がやろうとしていると。

 

りょうかん:そうですね。ある銀行員の方が熱い想いを持ってやろうとしてるんですよ。

 

伊木:これからなにか事業をやろうとしてる人にとってはすごく力強いですよね。

 

りょうかん:力強いですね。僕ももともとFAAAVOを使いたかったんですけどFAAAVO鳥取の立ち上げが間に合わなかったのもあってReadyForを使った部分もあります。

 

伊木:今後、なにかしたいと考えてる方は是非、クラウドファンディングも選択肢に入れていただければと思います。では、次の話題に行きましょう。さっきどう物件を活用していくのかの話題の時にも伺ったんですが、それを考える際にこの地域がどういう地域で、ここで住む方々どんな暮らしをしてきてて、その人達がその物件をどう使ってきたか、全オーナーさんがどうその物件を運営してきたか、さらには周辺にあったものの影響を受けたりして今の活用方法に繋がってたりしてますか。

 

りょうかん:そうですね、さっき説明しちゃったとおりなんですけど(笑)

 

伊木:僕が個人的に思うのはホンバコさんはもともと喫茶店だった物件で、コーヒー豆の焙煎もしてたんでしたっけ?

 

りょうかん:コーヒー豆の焙煎もしてて、焙煎した珈琲で喫茶店もやってましたね。

 

伊木:そうですよね。その延長線上でホンバコで呑める珈琲は「ホンバコブレンド」なんですよね。

 

りょうかん:そうですね、オーナーさんが今も焙煎してる豆でオリジナルブレンドを作ってもらってますね。

 

伊木:そこもひとつストーリーに繋がってるなっていうところですね。

 

石橋:コンビネーションですよね。その地域に本屋さんがあったっていうことと、オーナーさんがやってるコーヒー豆を出すっていうことと丁度合う、無理のないコンビネーションだと思いますね。

 

伊木:僕はホンバコに1回しか言ったことがなくて、ちょっとだけりょうかんくんに話を聞いただけなんですけど、いろんなストーリーを感じました。例えば2階に置いてあった昔の看板だったり、あれも前に使ってたものがリノベーション後にも存在するっていうのは当時の雰囲気を感じ取れるひとつの要員かなと思ってます。

 

りょうかん:まだあの看板を活用できてないですけどね(笑)

 

伊木:置いてあるだけで雰囲気あるけどね。

 

りょうかん:あと2階は最近少し雰囲気を変えたんですけど、古い本を集めたコーナーを作ってて、この近くにその看板を置いてますね。まだその2階の屋根の断熱が出来てなくて、少しずつ直そうっていうのがあるんですけど。もうすぐ冬が来て、そうすると相当寒いので屋根の断熱も本気でやらなきゃいけなくて。古くて捨てるような漫画雑誌を回収してそれをシュレッダー掛けて細かくして、袋詰したものを使えるんじゃないかな〜ということで計画を進めてるんです。最後に密閉するために気密シートっていうのを貼るんですけど、さらにその上に昔のメニュー表とかが残ってるので、それを貼っていこうかなと思ってます。

 

石橋:そこにあったものを使っていくっていうのもリノベーションのひとつのテクニックですよね。思い入れがあるものを使うっていうのは非常に重要ですよね。豊岡劇場もそういったものを再度活用しました。

 

伊木:そうですね。豊岡劇場も2012年に一度閉館したんですけど、それまでにすごいたくさんの人がここを利用したと思うんですよね。そういうところの想いを汲み取ったというところはあったんですか。

 

石橋:僕がもともとここによく来て映画を見たことで触発されて海外に行ったんですけど、帰ってきて若いころのことも覚えてるんですけど大開通ってすごく活気があったんですよ。いろんな人がいて、店があって。まあ小学生中学生なので、豊岡に行くのが楽しかったっていう地域だったんですね。で、それが衰退していって、バイパス道路沿いにフランチャイズ店舗や商業施設が建って、便利にはなったと。amazonや宅配業者の発展によって1日、2日で全てが揃ってしまう。素晴らしく便利になった。ただ一方で特徴がなくなってくるんですよね。どの地域に行っても同じような店が並んでて。便利は便利なんだけど、それを求めるならもっと便利なまち(都会)に動いちゃったらいいんじゃないとなるわけですよね。そうすると結果的には人は流出していく。本来ならまちにもともとあったもの。豊岡劇場は昭和2年からつい3年前までやってたので、それが貴重だねって僕はずっと思ってたし、そういうものを見なおしてみて、まちなかっていうものがもう一回復活しないことには豊岡というところの場所の魅力っていうのはだんだんと無くなっていくはずだと思ってるんですよ。それは僕らやここに住んでる人にとっては悲劇なので、それはしてはいけない。けどまだ存在してるならそれを有効に使おうと。どうやって使おうっていうひとつの方法がリノベーションだと思うんですけど、その中で豊岡劇場も一回映画館として衰退の流れに逆らえずに閉館してしまったんですね。でももう一回叩き起こすことをするにはこれまでとは違う方向性を生んでいかないといけない。ということで「映画だけじゃない映画館」を目標に「豊劇新生プロジェクト」と名づけて動き出したんですよね。で、実際に探してみると他にもいい物件だったりとか面白い人がたくさんいるんですよ。発見できるので、諦めてしまっている人たちにまだ可能性があることを、もう一度「こういうことも可能ですよ」って、発想の転換で打開できることを伝えていくことが一番難しいとは思うんですけど、それをやっていかないことにはまちなかが再び息を取り戻すことはないだろうと。

 

伊木:そうですね。石橋さんはさっきも言いましたけど、地元で飲食店やシェアオフィスをされてることもそういうところに繋がってきてるんだと思いますし、もちろんこの豊岡劇場もそういう想いでいろんな人達の拠点にしていきたいっていうのはホンバコも共通している部分なんじゃないかと思います。僕が感じてるのは本当にいろんな人が行き交ってて、ここに行ったら誰かに会えるだとか、楽しみやワクワクがその物件というか場所に詰まっている感じがするんですよね。そういうのは構想段階やリノベーション段階でも想定していたというか、こういう場を生み出したいと考えてやってたのかなと思うんですけど、どうですか。

 

りょうかん:そうですね、僕はその意識はすごくあって。僕はヒッチハイクの旅をする前に熱海で1年間、まちづくりやリノベーションをしてたNPOでインターンしてたんですけど、そこで見聞きしたり経験したこともそうですし、ヒッチハイクでいろんなまちを回ってたんですけど、その中でも気に入ったまちには長期滞在してっていうことを繰り返してる中で、やっぱり人が集う場所「ここに行ったら誰かに会えるんじゃないか」「ここに行ったら変な人がいた」とか、そういう場所があるまちのほうが居心地が良くて。そういう場所をどうやって作ってきたんだろうって話を聞いてる中では、「なるべく関わってもらって、そういう意識をその場所に植え付けていくしか無いよ」っていうことも聞いてたので、作る段階でのワークショップもそうですし、あとは空き家BARというものもやったり。空き家BARというのは、空き家を一夜限りでも使ってみようよっていうもので、みんなで持ち寄りでフードもドリンクも揃えて。ただそれを売って、持ってきた人も買うっていう(笑)そこでの売上を改装資金だったり、ゴミの処分費とかに回していこう。その場所を変えていくための資金源として使っていこうっていう、楽しみながら支援ができるひとつの手段が空き家BARになってて。

 

伊木:持ってきた人も買うっていうシステムは持ってきた人も支援する気持ちで参加してくれてるんですよね。それは本当に素晴らしいものだなって思って、豊劇をオープンした後にそれを聞いて「豊劇もやればよかったな」って。使ってもらえるし、支援もしてもらえて、なおかつ参加者が楽しめるし、次に繋がりますよね。

 

りょうかん:いろんな形の支援があって、実労働としての支援だとか、フードを提供するだけの支援とか、まあ実際ここでお金をつかうっていう支援もできるので、自分ができる範囲での支援が可能だっていう、選択肢が増やせるっていうのがすごく素晴らしい仕組みかなと。

 

伊木:地域の人達との関わり方の新しい手段のひとつかなと思いますよね。

 

りょうかん:いまは空き家BARの仕組みを勝手に使ってくださいって言ってたらあちこちに飛び火してるみたいです。

 

石橋:それは良いですね。豊劇としてもそういうのが自然発生的に周りに行われていくことを望んでますね。僕手動っていうのはもう不必要なものだと思ってて、ここに来ている若い方々が自然にこういう行動に出て、まちの中で多発的に出来てくると変わっていくのかなと。

 

伊木:本当にそうですよね。ホンバコもそうやって今があるわけだと思うので。他に全国的な事例を観ても空き家CAFÉ空き家BARをやってるところって結構あるので、そういうところも関わる人を増やしていくっていうのは大事だなと思ってます。次にね(パワポで)、《地域コミュニティの場としての役割》って出してるんですけど、豊劇に関しては少ホールを中心に地域に存在するコミュニティにもっと利用して欲しいという活用方法を取ってるんですけど、ここはどんな想いがあるんでしょうか。

 

石橋:最近やっとここを利用したイベントだったり、活動が増えてきてて、ウクレレ教室とか日中の楽しみ方っていうのが定着してきました。基本的にこの小ホールは「地域コミュニティやってます」って申請をしてくれればレンタル料は無料になると。お支払い頂くのはオプションである光熱費や備品レンタル分だけになります。要するに自由気ままにやってくれと。そんな空間を提供しています。有料のイベントを開催するときにはレンタル料金は発生するんですけど、出来ればこういうもの(地域コミュニティでの利用)が増えることによって、より人が集まるようになると。つまり中心市街地に人が戻ってくるという狙いもあります。地域コミュニティの中でも新しいものを作るというのもあれば、既にあるコミュニティの方々にも利用して欲しい。ここで人が出会うことによって新しいコミュニティが出来ているというのもあると思うんですよ。ウクレレ教室なんかもそうだと思うし。あれが楽しむだけじゃなくて、何かを生み出すところまでいくといいですよね。どこかに出かけるとか空き家BARでライブするとかやればいいなと思いますね。

 

伊木:まだオープンして5ヶ月なんですけど、ホンバコから新しく発生したコミュニティとか人の繋がりで出来た何かってありますか。

 

りょうかんコミュニティ…まだホンバコだからこそ出来たコミュニティとかは目に見えてはないですけど、普通にお客さんが来てイベントの参加者同士で飲みに行ったりとか釣りに行ったりとか。全然それでいいかなと思ってて。今ホンバコとしては小さなイベントをいっぱい打っていこうと実践していってて、ほんとに5〜10人集まればいいくらいのイベントを多発的に打って、すごくハードルを下げようと思ってます。で、集った人、出会った人同士でなにかが起きたらいいなという感じですね。

 

石橋greenz.jpで記事にあったものですけど、コミュニティというのはデザインできないと。作ろうとすること自体がだいたい間違ってる。自然発生的にあるものだし、自然発生的に出るものなので、それを意図して作ろうという意識は僕らにはないですね。既にあるコミュニティが集まる場所として提供しているので。そこから新しい輪が出来ればいいなと思ってはいるけれども、それを意図的に作るのは恐らく間違ってるんだろうなとは。

 

りょうかん:リノベーションスクールでもよく言われるのは、カフェもそうですし、豊劇もそうだと思うんですけど「公共空間だという認識を持ちなさい」っていう。ここは人が集う場所であって、集える場所であるから、そこを意識しなさい。ただビジネスとしての価値観も忘れずに進めなさいと言われるんですけど、多分さっきのコミュニティは作るものではないという話はこれに近いものがあるのかなって。

 

伊木:なにかを発生させるのではなくて、「こうしたいからこうするんだ」って自然にそれが発生してくるのが一番望ましいですよね。今それぞれの事業が出来てからの話になってるんですけど、時間もないので最後の話題に移っていこうかなと。もう一度タイトルに戻って『リノベーションがまちに与えるもの』っていうことを改めて聞いていきたいと思うんですけど、今回ふたつの物件でリノベーションを実施して実際に事業展開をそれぞれ5ヶ月、10ヶ月やって来られたんですけど、やってる側から自分の物件の周りになにか影響を与えられたとか、こんなところがこうなったりって実感されたことってありますか。

 

りょうかん:実際に周辺の物件が動き出したとかこの取組が始まったとか、リノベーションスクール内ではあるけどホンバコが出来たからこそ生まれた案とかはまだ発生してなくて、むしろ僕が今どんどん仕掛けていってる段階ですね。ただ人の意識は変わってきてるなとは思いますね。リノベーションに対する意識も変わってきてるなって思いますし、「なんとか出来るもんだな」っていう感覚はホンバコに来てる方々はすごく感じ始めてるし、あとは高校生大学生のその意識がちょっとずつ変わってきてるのかもしれないです。僕は年齢が近いのもあるし、そういう意味で自分でもなんかやってみようっていう人が増えてきてるなとは思います。そこから目に見えるカタチになっていけばいいなと。

 

伊木:ハード面だけじゃなくてまずは人の意識の部分、ソフト面の変化が重要で、そこからハードに繋がっていくのかなって思いますよね。すごく良い変化だと思います。豊岡劇場はどうでしょう。

 

石橋:そうですね、近くにennnasさんやP-FACEさんという新しいところも出来たし、10年間やってるカバンストリートが近くにあって、周りからはまだまだだと自分たちは認識されてて、それをもっと大きくしていきたいと。行政内にも市街地活性化っていう意識もありつつ、少しはまちなかに目を向けていこうと言う話も聞いています。えー、どうだろう。豊劇が出来て、とりあえずは人が集まってきてはくれてますよね。僕は渦中の当事者なのでかえってよくわからない状況に陥ってはいるんですけど。今後は伊木君だとかもっと若い人がやっていかないといけないんだろうなとは思います。で、私が出来ることとすれば、無茶なことを街中でやろうとする人を後押しするとかが出来ればなと。本当にりょうかんさんみたいに若い人が実際やっちゃって、出来てることが見えてくるとすごく変わってくると思うんですよ。僕は有限会社石橋設計で事業をやってて、豊岡劇場をやってる人と見られてしまうので、そうだけではない、若い方の可能性を潰さいないことが重要かなと思います。

 

伊木:ありがとうございます。おふたりの話を聞いてて僕が思ったのは、地域のプレーヤーを増やして、次世代に引き継いでいかないと単純にこの地域が面白くならないと。石橋さんもその世代交代を若い人に託そうというふうに考えていて、りょうかんくんはまだ若いので自分がプレーヤーのままでいて、もちろん周りのプレーヤーも増やしていきたいと。そういうふうにリノベーションというひとつのワードからプレーヤーを増やしていく、あるひとつのきっかけとしてそういう使い方もあるし、もちろん自分のまちとの関係性というものを今の若い世代の人達が考えていけば、もっと無茶する奴が出てきて、それを後押しする大人が出てきてっていう良い環境が出来るんじゃないかなと思ってます。そろそろ時間なので今日はこの辺にしたいと思います。皆さん、長い時間どうもありがとうございました。