重松清氏の原作を21年という歳月を経て、映像化されて話題となっている『幼な子われらに生まれ』が10/7より上映開始となります。『家族』というもののあり方を改めて見つめ直すことのできる素晴らしい作品となっています。

 

 

(C)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会

 

 

 

〜今作のあらすじ〜

常にシャツのボタンを一番上まで留めているような、まじめな男・田中信(浅野忠信)。
しかし彼はバツイチ、再婚と言う経歴の持ち主。再婚した妻・奈苗(田中麗奈)、彼女の連れ子たちと、仲睦まじく生活しているかのように見えます。

 

 

しかし奈苗が信の子を妊娠すると、血の繋がらない長女の信に対する態度は辛辣に。さらに信は、自分の前妻(寺島しのぶ)との子供に、3ヶ月に1回会うことを、とても楽しみにしています。

 

 

 

 

このことを悟られないようにするのにも、あわせてストレスに・・・
ついには血の繋がらない長女に「本当のパパに会わせてよ」と言われてしまいます。 信は半ば自暴自棄になってしまい、奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)に会わせようとします。

しかし沢田は、奈苗にDVをした上に、家族を捨てた男でした。

さまざまな壁にぶつかった、信のとる行動とは・・・

 

 

 

 

 

みどころ① 普通そうで普通でない?【浅野忠信】の演技が凄い!

今作で浅野忠信氏が演じる主人公・信は、誰がどう見ても真面目な男。 その身なり・口調・態度・どこをとっても、まるで教科書のようです。

一方の浅野氏本人はというと、ワイルドなイメージに、独自のファッションセンスを持つようなダンディズム溢れる人物です。

そんな浅野氏は世間からは、どうしても良いイメージをもたれないバツイチ・再婚者でもある信という、奇妙な役を演じています。

「普通を装っている人ほど面白い」と興味を持つ浅野氏は、信こそ、今1番演じてみたい役だと語っています。 浅野氏は役のイメージを壊さないよう、神経を研ぎ澄まし続けます。
その結果、現場でも怒鳴り、泣き、さらには「帰りたい」ともらすほどの、壮絶の撮影現場だったそうです・・・!

その甲斐あって、公開されている本編映像では浅野氏のすばらしい演技が、まざまざと見て取ることができます!

 

 

 

浅野氏は『淵に立つ』(16)『岸辺の旅』(15)など、インシアター系の作品での存在感が非常に引き込まれます。
今作でも、TVドラマや、大衆向け映画とはまた違った浅野氏が見られること間違いありません!

 

 

 

 

 

 

見どころ② 21年前の原作が、今の時代で蘇る! 

今作の原作は直木賞作家・重松清氏の21年ほど前の小説。
映像化から、これほどの期間が開いているにもかかわらず、原作者が認めるほど、映画は「今」の話として、きちんと完成されているのが面白いです。

 

 

 

 

というのも、この映画を脚色・脚本化した荒井晴彦氏は、原作者の重松氏と21年前から脚本家の約束を交わすほど、この作品に対する想いがあったのです。

 

 

 

荒井氏は、過去に『Wの悲劇』(86)『バイブレーター』(03)で脚光を浴び、最近では菅田将暉主演の『共喰い』(13)、二階堂ふみ主演の『この国の空』(15)などの原作モノも手がけています。

一見、なかなか取っ付きにくい原作の世界観も、脚色によりグッとのめり込めるようなストーリーや演出になっています。  今作でも、荒井氏の確かな手腕に期待が高まるところです!

 

 

 

 

 

 

 

 

見どころ③ 4人の実力はキャストが見せる群像劇!

主演の浅野忠信は、最近ではハリウッド映画『沈黙 サイレンス』(17)でも飄々とした態度で、主人公のキリスト教神父を、「転ぶ(棄教)」よう説き伏せ続ける、癖のある役を演じていたことも記憶に新しいです。

さらに浅野氏演じる、信の妻役・田中麗奈は『麒麟の翼 劇場版・新参者』(12)と、大衆作品はもちろん、『葛城事件』(16)では通り魔をして刑務所に行った男と獄中結婚する難しい役を演じています。

 

 

 

 

信の元妻役に、最近では『ぼくのおじさん』(16)、『シェルコレクター』(16)で名脇役を務めた寺島しのぶ。 今作ではキャリアウーマンゆえに、夫より仕事を取った妻を演じています。

(C)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会

 

 

 

そして、奈苗の元夫・沢田役はクドカンこと宮藤官九郎。俳優以上に脚本家のイメージが強く、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』ではぶっ飛んだコメディ・ミュージック映画を監督さえしています。そんなクドカンがこの度、まさかのDV夫役として出演。
自身の持つキャラとは真逆の役を演じ、話題となっています。(ご本人も「コレで嫌いにならないで!」なんて舞台挨拶で言ったとか・・・笑)

 

 

 

 

奈苗の長女・薫役には、第18回nicolaモデルオーディションでグランプリを受賞し、「第2のガッキー」と話題沸騰中の、南沙良。

 

 

今作が映画初出演です!監督も「反応力がある」と初の演技にも関わらず、その才能を絶賛したそうです。

 

 

 

 

 

 

 

~まとめ~

 

21年前に原作が書かれたという本作品、血は繋がっているけど他人、繋がっていない肉親。親と子それぞれが悩み、もがき、苦しみ、ねじれてそれでもなお繋がりたいと願う。。そんなある種普遍的な家族の物語にしっかりと引き込む俳優陣にまずは拍手。素晴らしいです。そしてむしろこんな時代における、家族とは?親子とは?血のつながり、そういった家族という”集合体”の本質がリアルに描かれることの重要性を感じます。家族の形に正解はない。不正解もありえない。でしょう。微妙なすれちがいによって歪んでしまったりまた修復したり。家族ってそんなことの繰り返しでタフになっていくんだろうと思ったりするのです。それはみんな不器用だから。あらためて現在自分が生きている環境、親は子供の事を、子供は親の事を、今作を通じ少しでも”想う”きっかけになってくれれば良いと思います。

(C)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会