エルサルバドルの露店で生活の糧を得るシングルマザー5人が演劇のワークショップに参加し、講師とともに劇団「ラ・カチャダ」を立ち上げる。リハーサルを繰り返すうちに、彼女たちは自分たちの生活や状況に向き合うことになる。それは社会全体が許容している、女性に対する不当な暴力のサイクルだった。哀しみを肥った肉体に秘めて陽気にふるまう女たちは、植えつけられたトラウマを乗り越えることができるのか。

 本作が初の長編監督作品となるマレン・ビニャヨは、ラ・カチャダの活動に1年半密着して、その魅力を存分に映像に焼きつけた。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019インターナショナルメインコンペティション出品作品
サウス・バイ・サウスウエスト映画祭2019グローバル部門観客賞受賞
作品提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭

『ラ・カチャダ』予告編

< 概 要 >

日 程|11/3(水・祝日)

時 間|1回目 14:00〜 / 2回目 17:30〜

場 所|豊岡劇場 大ホール

料 金|大人1,500円/大学生500円/18歳以下 無料

主 催|豊岡劇場(有限会社 石橋設計)/豊岡映画センター


<タイムテーブル>

■1回目
13:30 開場・受付開始
14:00 『ラ・カチャダ』上映開始
15:30 豊岡市婦人共励会母子部長の中田千香子さんによるトーク

■2回目
17:00 開場・受付開始
17:30 『ラ・カチャダ』上映開始
19:00 芸術文化観光専門職大学講師での姚瑶さんによるトーク

<トークゲスト>

中田千香子(豊岡市婦人共励会母子部長

豊岡市婦人共励会母子部長。兵庫県婦人共励会母子部長。1962年生まれ。豊岡市出身。自身がシングルマザーになったことで、母子福祉団体の婦人共励会に関わることになる。2004年より豊岡市で、母子・父子自立支援員としてひとり親の相談に携わっている。

姚瑶(芸術文化観光専門職大学・専任講師)

中国江西省生まれ。芸術文化観光専門職大学・専任講師。九州大学博士(比較社会文化)。専門は言語教育、第二言語習得、多文化共生。演劇と語学教育を研究しながら、文化庁の芸術家派遣事業に参画し、ワークショップのファシリテーターとして演劇活動の普及に尽力している。九州大学研究員、九州産業大学講師などを経て、2021年4月より現職。著書に、『演劇的手法による日本語教育に関する理論的・実証的研究』(花書院)


【監督のことば】

私がこの映画の登場人物たちに出会ったのは、2010年、卒業制作となる短編ドキュメンタリーの撮影のために、スペインからはるばるエルサルバドルへ赴いたときのことだった。取材対象である現地のNGO団体が、街頭で物売りをして生活する人々の子どもたちのケアを主な活動内容としていて、マガリやマグダ、ルースやチレノやウェンディは、そんな母親たちのなかにいたのである。

 初めて中米を訪れた私は、このとき、自分とは完全に異質の現実と直面することとなった。私は当時23歳で、自分とそう変わらない年齢の女性が自分とは全く異なる人生を歩んでいて、子どもたちをできるだけちゃんと育てることしか考えていないという事実に、ショックを受けたのだ。

 ところが3年後、エルサルバドルへの移住を果たした私と再会した彼女たちは、なんと舞台の上に立っていた。あの内気で不安げな女性たちが劇団を結成し、家庭や市場での自身の経験を描く、ささやかな演劇の実験を披露していたのである。私は驚いた。そこにいるのが、かつて出会った人と全く異なる女性たちだったからだ。彼女たちはその頃、プロとして初公演となる劇の準備を進めていた。そこで私は、母親としての実体験を語るこの劇が創作される過程で行われる稽古を、一つひとつ撮影していこうと決心した。

 リハーサルを重ねてゆくごとに、幼児期の虐待、10代での妊娠、ジェンダーにもとづく暴力、性的虐待、貧困など、彼女たちの体験してきた恐ろしい出来事の数々を知ることとなった私は、やがて何か本質的な変化が目の前で起こっていることに気づいた。私は、演劇から力を得た女性たちが自らの声を発見するという実験、そのなかで彼女たちが自身を理解し再発見するという実験の立会人となった。そして、暴力的な現実が自分と子どもに対してもたらす影響や、そうした世代間の悪循環と闘い、打破することがこの実験によっていかに可能であるかに彼女たちが気づいてゆく様を、その目で見届けることになったのである。


映画情報
https://www.yidff.jp/2019/cat009/19c012.html


<お問い合わせ>

豊岡映画センター

MAIL|toyooka.eiga@gmail.com


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