アメリ デジタルリマスター版【日本語字幕版】

上映期間|10月25日(金)〜11月16日(水) 

【INTRODUCTION】
観る人みんなが幸せになる! 
2000年代初め、それまでの歴史を次々に塗り替え、社会現象となった奇跡の映画!

フランスでは公開直後から「観る人みんなが幸せな気持ちになれる」と口コミが広がり、当時のシラク大統領やジョスパン首相も観賞した『アメリ』。それまで『デリカテッセン』(91)『ロスト・チャイルド』(95)『エイリアン4』(97)とアーティスティックでダークな世界を得意としたジャン=ピエール・ジュネ監督が、「人々を幸せにする映画を撮りたい」と方向転換。自分が好きなものと幸せの種を埋め込んだのが、パリの下町、モンパルナスを舞台にしたロマンチックコメディ『アメリ』だった。幸せの種は世界中で芽吹き、各地でロングラン・ヒットを連発。2002年には映画界最高峰の祭典アカデミー賞(R)で外国語映画賞、美術賞など5部門にノミネートされたのだった。

 日本公開は01年11月17日。女性ファッション誌やカルチャー誌がおしゃれでかわいい『アメリ』を大々的に誌面で紹介し、庶民的なパリの風景に旅行好きも目をつけ、もちろんジュネファンも最新作に期待してと、公開前から興奮は高まる一方。そして、公開当日。日本での上映館は今はなきミニシアター「シネマライズ渋谷」1館限定で、『アメリ』を待ち焦がれていた人々が朝からスペイン坂の上から井の頭通りまで並び、「観たいのに観られない!」と悲鳴があがった。騒ぎを聞きつけたテレビのワイドショーや男性週刊誌も『アメリ』現象を追いかけて、『アメリ』は社会現象と化していった。その後、北は北海道の旭川、南は沖縄・那覇まで47都道府県、全160館の映画館で上映(再上映含む)されるなど、ミニシアター系映画としては異例の拡大公開を記録したのだった。

 同時に、赤と緑を基調にしたポップなインテリアや、オドレイ・トトゥが着こなすレトロなファッションに恋したファンに向けて、ムックやノベライズ、レシピ集、ヤン・ティルセンが手掛けた劇中音楽の楽譜集など関連書籍が続々と出版された。アメリのベッドサイドに置かれるミヒャエル・ゾーヴァの豚さんランプは高値で取引され、アメリの世界をリアルに体験したいファンのために聖地巡礼ツアーが企画されるなど、『アメリ』は日本中で憧れの的になり、社会現象は加熱する一方だった。

ジュネ監督監修でデジタルリマスター
懐かしいパリの風景に幸せが広がる

 ショートボブにクリンとした瞳。口角をクニュッと丸めてほくそ笑むなど、いたずら好きなアメリを表情豊かに演じたのは、当時、映画デビューしたばかりのオドレイ・トトゥだ。ジュネ監督は脚本段階で別の俳優を主演に想定していたが、スケジュールの都合で断念。新たにキャスティングを始めたところ、『エステサロン/ヴィ-ナス・ビューティー』(99)のポスターでトトゥを発見し、即採用となったという。トトゥはキュートな笑顔と確かな演技力が相まって本作で大ブレイク。来日時にはとぼけたコメントで取材陣を笑わせるなど、アメリのような無邪気さで幸せを振りまき、彼女のいない『アメリ』は想像できないほどのはまり役と絶賛された。

 あれから20年以上経ち、名作『アメリ』がジュネ監督監修でデジタルリマスター化された。色彩は鮮やかに、CG処理も最新技術できめ細やかになってスクリーンに再登場する。公開時と同じ35mmフィルムでの上映もあり、ジュネ監督は新旧を見比べるお楽しみを用意してくれた。

 カフェでのんびりと噂話を楽しみ、キヨスクで毎朝、新聞を買うのが当たり前だったあの頃。スマホもSNSもない、人々がのほほんと暮らすパリの下町をのぞいてみよう。何度観てもアメリのおせっかいにニヤニヤ、ロマンチックな隠れんぼに心がほっこり。時が変わっても色褪せない魅力をスクリーンで楽しもう。

【STORY】
風変わりな両親の間に生まれたアメリは、父の誤解から学校に通えず、空想の世界で一人遊びする子ども時代を過ごした。大人になった今はパリの下町、モンマルトルで一人暮らししている。恋人や同世代の友達はいなくても、カフェ「ドゥ・ムーラン」の個性的な同僚や常連客に囲まれて、居心地がよい毎日を過ごしてきた。

 1997年8月30日、深夜。ダイアナ元妃がパリ市内で事故死したニュースに気を取られ、アメリは香水瓶の蓋を落とす。コロコロと転がる蓋は洗面所の壁にぶつかり、壁の裏に隠されていた宝箱が40年振りに現れた。誰かの写真、おもちゃのレースカー、自転車の模型などがきれいに収められている。宝箱を持ち主に届けるサプライズを思いつき、アメリは翌朝からアパルトマンの管理人のマドレーヌや1階の食料品店に声を掛けたり、当時を知る人を訪ねて郊外へ出掛けたりと、持ち主捜しの冒険に夢中になる。ところが、持ち主候補は全員が人違い。肩を落とすアメリに、古株の住民、レイモンが手を差し伸べる。持病のせいで外出できず、ルノワールの模写に一生を捧げる頑固な老人は、どういうわけだか近所の事情通で、アメリのたくらみもお見通し。持ち主の個人情報をあっさりと教えてくれた。

 レイモンのサポートで宝箱を返す極秘ミッションは大成功! 持ち主の元少年が奇跡に驚喜する姿は、事の顛末を素知らぬ顔で監視するアメリの心を動かした。初めて知る温かな感情は、アメリはが湧き上がる。得意のいたずらで人々を幸せにするお手伝いをしようと、アメリは早速、お節介プロジェクトを立ち上げる。最初のターゲットは、母の死後、すべてに無関心になった父だ。実家の庭から父が大切にするドワーフ人形を盗み出した帰り道、アメリは以前、地下鉄ですれ違った男性を見かける。あわてて追いかけたが、モペッドに乗った彼は何かを落として走り去った。落とし物は、失敗した証明写真が大量に貼られた謎だらけでクリエイティブなアルバム。アメリはますます男性に興味をひかれていった。

 お節介プロジェクトのおかげで周囲が少しずつ明るく幸せになる一方で、アメリは初めての恋に臆病になっていた。アルバム探しの張り紙を見て持ち主のニノに連絡してみたものの、本人と顔を合わせる勇気はなく、いたずらを仕掛けては息を潜めるばかり。ニノは仕掛人不明の謎解きを楽しみながら、少しずつアメリへの距離を縮めてくる。恋を知らないアメリは、幸せへの一歩を踏み出せない。寂しそうな背中を押したのは、意外な人だった。

作品情報監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ  『エイリアン4』『天才スピヴェット』

2001年/フランス/フランス語/121分/シネスコ/原題:Le fabuleux destin d’Amélie Poulain /日本語字幕:齋藤敦子/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
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出演オドレイ・トトゥ『ロング・エンゲージメント』『ダ・ヴィンチ・コード』
マチュー・カソヴィッツ 『ウルフズ・コール』
公式サイトhttps://amelie-film.com/