兵庫県の日本海側、豊岡市にある映画館です。豊岡劇場(通称:豊劇)は、昭和2年(1927)に芝居小屋として始まり、社交ダンスの場、そして戦後は徐々に映画館と変化し、昭和40年代に現形の姿になったそうです。常に大衆文化の場として、周辺の地域住民に愛された続けた末に、85年の長い年月をまっとうし、平成24年(2012)3月末閉館されました。

2014年「再び地域に文化の拠点を作りたい」との思いから(有)石橋設計が建物をリノベーションして運営を再開されました。映画館を応用した新しい「場」の創出を模索されてきましたが、コロナ禍の打撃を受けて2022年8月31日に一時休館となりました。

そして2022年5月、任意団体「豊劇の未来を考える会」が事業継承に名乗りをあげ、再開に向けて準備中。2022年9月、豊劇の未来を考える会のメンバーが「一般社団法人豊岡コミュニティシネマ」を設立。2023年春の本格再開を目指す。

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主婦と学生のチャレンジ
〜優しさを循環させる取り組み〜

豊劇は、これからもこれまでと同じ多様な映画を皆様にお届けし、映画の上映に合わせてさまざまな取り組みを行っていきたいと考えています。年に1000本を超える公開作品の中から、皆様にお届けできる作品は100本ほどとなりますが、誠心誠意、魂を込めて選定していきます。

地方における映画館の現状は大変厳しいものがございます。豊岡劇場も御多分に洩れず二度目の休館となりました。私たちはそれでも豊岡の地に、映画が観られる場所を守っていきたいと考えております。お金儲けのためでなく、お金にはならないけれど地域にとって大切なことを守り続けるために活動していきます。地域の方々にとって大切な存在になるために、必要とされる存在になるために活動を続けていきます。”豊岡に豊劇があって良かった、地元の誇りだ”と言っていただけるような場所を目指します。そのために、運営資金をいっしょにサポートしてくださる「豊劇サポーター」(賛助会員/年会費)や(寄付)を募集します。また今何ができるのか、何をすべきなのかをいっしょに考えて行動してくださる(豊劇ボランティア)も募っております。

そして、休館が決まってから「仕事や介護の日々の中、ホッとできる場所だった。無くなるのは寂しい。」「豊劇の歴史と共に私たちの歴史がある。」「小さい頃親父に連れてきてもらったんだ。」「息子を連れてきた、今度は孫を連れて来たい。」と毎日多くの方にお声かけいただき、豊岡劇場はこれまでたくさんの方々の日常の中にあったのだと知りました。人生山あり谷あり、いろんなことが起こります。豊劇に来るのは、特別な日(ハレのひ)でなくてもいい。豊岡劇場は、地域の皆様の”いつもと変わらない繰り返す毎日”そんな普通の日(ケのひ)に寄り添い、ささやかに彩る、そんな存在でありたいと思いました。そのために、お客さまが少ない平日も開けて待っていたいとそう思うのです。本当は朝も昼も夜も24時間365日開けて待っていたい、そんな気持ちですが、かけられる経費も限られているので、細くとも長くを目指してまずは週に5日、1日3回の上映から始めていきます。

これらのことは、とても難しいチャレンジであることは承知の上です。一筋縄ではいかないでしょう。それでも、豊劇に再び火を灯したい。なるべく長く、灯し続けたい。そして、この豊岡の地に”ペイ・フォワード”をし続けたい。”ペイ・フォワード”とは受けた優しさや思いやりをその人に恩返しするのではなく、次の世代へ伝えていくという取り組みです。私は若い頃たくさんの人に優しくしてもらい助けていただきました。私はその恩を、次の世代を担う子どもたちに送りたい。豊岡劇場で、子どもや若者が気軽に映画を観られる環境を実現し、子どもたちの人生がより豊かなものになるといいなと願っています。そのためにみなさま、私に少しだけ力を貸していただけませんでしょうか。そして皆様、ぜひこの”思いやりを循環させる取り組み”に参加してみませんか。

皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

2022/11/29
豊岡劇場/一般社団法人豊岡コミュニティシネマ 代表理事
田中亜衣子


イシワタマリ(美術家/豊岡コミュニティシネマ理事)

ひと月292円。
学生やシニアならひと月83円。
豊劇サポーターになるための会費です(※正確には年会費のかたちで一般3,500円/学生シニア1,000円)。サポーターになると映画の鑑賞料金もオトクに。でも、でも、大事なのはそこじゃないんです。暮らしをとり巻くすべてが「オトクか否か」に換算されがちなこの時代、大事なことが置き去りになっていないでしょうか?
「みんなでつくる、みんなの豊劇」。
ソファに座ってぼんやりしながら映画でもyoutubeでもなんでも、画面の向こうの誰かの物語をいくらでも享受できるこの時代。ほんとうは、暮らしのなかでいっしょに携われる、あなた自身の物語のほうが大事ではないでしょうか?
どうにもならない状況を変えるのは、ひとりの強いリーダーではなく、弱くてふつうのたくさんの人たちの出会いとつながりです。私たち一人ひとりが、暮らしのなかで無理のないかたち、ちょっとワクワクするかたちで、一緒に携わることのできる物語。1927年に芝居小屋として誕生して以来時代とともに姿を変えてきた豊劇の年月は、そこにいた一人ひとりの物語の積み重なりです。あなたにも一緒に、いっちょ噛みしてほしい。
豊劇はあなたを、必要としています!

守本陽一(医師/豊岡コミュニティシネマ理事)

地方は今、人口減が加速している。小学生の生徒は半減し、移住者や関係人口ではとてもではないが、埋め合わせることはできない。そんな中で、映画館という集客スタイルのビジネスは正直言ってかなり厳しい。インターネットでの配信サービスも普及してきた。地方では、映画館という文化資本はなくなってしまうのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。但馬、北近畿に住む映画に関心があるすべての人が、ボランティア、口コミ、お金、様々な力を結集すれば、続くはずだ。新しい豊岡劇場はそんな地域の皆さんの想いの器になるはずだ。映画館にはまだまだ可能性がある。映画という文化、中心市街地の拠点、そこに集う人々によるコミュニティシネマの可能性。皆さんのお力をいただきながら、豊岡劇場が続いていくことを願っている。

瓶内栄作(CAT講師・中小企業診断士/豊岡コミュニティシネマ監事)

皆さん映画館は必要でしょうか。動画配信が普及した昨今、映画をみるのに映画館は必須ではないかもしれません。でも街に映画館があることで、「今日はスマホの電源を切って、ゆっくりコーヒー片手に映画を楽しもう」といったように、暮らしに彩を添えることができます。ただ、円安、物価上昇、国際情勢不安など、余裕のない世の中になっています。生活を豊かにする文化資本でありながら需要の低迷している映画館は、従来のようにチケット収入だけで維持はできず、ぜいたくな施設となってしまいました。それは都市部の有名ミニシアターが続々閉館していることからも明らかです。豊岡劇場の再々生は、人口減少が進む当地において、映画館という機能を再定義し、持続可能な社会の一機能としての役割を目指す、挑戦的な取り組みです。但馬に必要な場所としての豊劇を作る取り組み、ぜひご一緒しませんか?

《賛助会員費及び寄付金の使途》
豊岡劇場を再開させるための資金、また子どもが気軽に映画を観に行ける環境を作るために、大切に活用させていただきます。

・上映環境の整備
→上映回数を増やす
→バリアフリーの整備
→ 託児サービスの導入 などを検討しています。
・子どもの鑑賞支援のための事業
→子ども向けプログラムの上映を増やす
→18歳未満の子ども対象のチケット助成
→子ども向けイベントの企画 などを検討しています。