上映期間|11月29日(金)〜12月11日(水)
【INTRODUCTION】
家での最期を希望した父と、看取りを決意した母。
息子のカメラが映し出す、戸惑いと焦燥、驚きと喜び、感謝と労い…。
生と死に向き合う日々をありのままにみつめたドキュメンタリー。
「うちに帰りたい」。末期癌で入退院を繰り返していた父の言葉で、母は家での看取りを決意した。介護ベッドを置き、ヘルパーさんや訪問看護師さんが出入りする自宅で始まった父と母の新しい生活。ベッドから動けない父は何かと世話を焼く母に「ありがとう」と口にするようになり、母はできる限り父の近くで時間を過ごすようになった。少しずつ食事が摂れなくなり、痩せ、目を瞑る時間が増えていく父。持病の悪化で自身の健康にも不安を抱えることになった母。ヘルパーさんたちは父のもとを毎日訪れ、丁寧にケアを行い、時に母の相談相手にもなってくれている。閉じていく命の前で広がっていく人と人のつながり。生と死のあわいに訪れる、夢のようなひととき。
40日余りにわたる両親の最後の日々をみつめたのは、『東京干潟』(2019)、『たまねこ、たまびと』(2022)などで自然と人間との結びつきを描き続けてきた映画監督の村上浩康。介護生活を続ける両親と積極的に関わりたいとの思いから回し始めたカメラには、「老老介護」「オレオレ詐欺」といった高齢者を取り巻く社会問題や、花や虫などの様々な命が映り込む。高齢化が進み続ける日本で介護や看取りは他人事ではなく、「看取り難民」という言葉も生まれている。いつ何が起こり、いつ終わるのかもわからない日常をどう生きるか。不思議な爽快感にあふれた、ある看取りの記録。
■看取り年表
1965年 村上壮、幸子結婚
(当時は壮が小学校教員、幸子が福祉施設職員、以後共働きを続ける)
1966年 長男・浩康誕生
1968年 長女誕生
1974年 新興住宅地にマイホームを購入
2019年 壮に胆管がんが見つかり手術を受ける
2022年 壮が体調を崩し、以後入退院を繰り返すようになる
2023年2月21日 壮、高熱を出し救急車で入院
3月9日 検査の結果、がん再発と告げられる
4月2日 一時退院する
5月13日 またも高熱を出し入院
6月5日 病院での治療が困難とされ退院
ケアマネージャーに相談し、幸子が自宅での看取りを決める
6月10日 介護が予想以上に大変で、緩和ケア病棟への入院を幸子が壮に打診
壮が激怒する
6月11日 再びケアマネージャーに相談
訪問看護とヘルパーの助けを借りて、自宅での看取りを続けることに決める
6月12日 壮、訪問入浴介護サービスを受ける
この日から映画の撮影を開始
6月25日 壮、胸が痛むと言い出し、痛み止めの薬を投与 湿布も貼る
6月26日 幸子、体調悪くなり病院へ
心臓弁膜症による不整脈と診断 点滴を受け帰宅
7月5日 壮、酸素吸入が必要になる
7月6日 四国より長女夫妻が見舞いにくる
7月7日 血圧が低下し、一時危ない状態になる
7月11日 食事や水分が摂取できなくなり、肛門が開いた状態に
7月16日 飲まず食わずのまま放置することも出来ず、点滴注入を依頼
しかし体が受け付けず
7月17日 壮、永眠
7月18日 納棺師による遺体の処置 葬儀は無宗教で親族のみで行う
7月19日 出棺 火葬
8月9日 壮の遺言により、遺骨を海に散布
作品情報 | 製作・監督・撮影・編集:村上浩康 タイトル:岩渕俊彦(紙町銅版画工房) 整音:河村大(スタジオ・アーム) 挿入歌:私の青空 作詞 GEORGE WHITING 作曲 WALTER DONALDSON 訳詞 堀内敬三 唄 榎本健一 協力:株式会社 やさしい手 医療法人社団爽秋会 岡部医院 牛込医院 株式会社 清月記 葛岡斎場 岩松英彦 小原浩靖 土屋トカチ 能勢広 纐纈あや みやぎシネマクラドル 配給・宣伝:リガード ドキュメンタリー/2024/日本/95分/DCP |
出演 | 出演:村上壮 村上幸子 |
公式サイト | https://www.omitori.com/ |