ルノワール

上映期間|9月5日(金)〜9月17日(水) 

【INTRODUCTION】
世界中の映画祭、映画人が注目。
第 75 回カンヌ国際映画祭、ある視点部門カメラドール特別賞を受賞した 『PLAN 75』の早川千絵監督 最新作。

私たちが世界の美しさと残酷さに気づいたのは、いつの頃だったろう――。前作『PLAN 75』では、高 齢化社会が深刻化した近い将来の日本を舞台に、75 歳以上の国民に生死の選択を迫る衝撃的な物語を描き、 同年のカンヌ国際映画祭ある視点部門カメラドール特別賞を受賞、アカデミー賞日本代表としても選出さ れるなど、新たな才能として世界中の注目を集めた早川千絵監督。それから 3 年、日本、フランス、シン ガポール、フィリピン、インドネシア、カタールの国際共同製作作品となる『ルノワール』がいよいよ公 開される。

最新作で綴られるのは、11 歳の少女が、不完全な大人の世界を覗きながら、人々の心の痛みに触れてい くまでを繊細な筆致で描いた、あるひと夏の物語。死への好奇心と生きることのどうしようもない寂しさ。 誰かの温もりを求める気持ち。少女の小さな体に宿る、はちきれんばかりの感情に誰もが心を掻き立てら れる、2025 年を代表する生涯忘れられない一本が誕生した。

多数の候補者の中からオーディションで主演に大抜擢されたのは、当時役柄と同じ 11 歳だった鈴木唯。 真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スク リーン一杯に広がる彼女の瑞々しい演技に心奪われる。フキの母・詩子役を演じるのは、名作『ふたり』 で鮮烈な映画デビューを飾り、これまで数々の映画賞を受賞してきた石田ひかり。夫の介護、子育て、仕 事と奔走するなかで徐々に心の余裕をなくしていくという難しい役どころを見事に演じている。自分なり の方法で娘を思いやりながら孤独に病と向き合う父・圭司役は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝 いた『万引き家族』で主演を務めるなど、今や日本映画界に欠かせない名優リリー・フランキー。またフ キが出会う大人たちとして、昨年東京国際映画祭で東京グランプリをはじめ三冠を獲得した『敵』の中島 歩や、『ナミビアの砂漠』『あんのこと』など話題作に続々と主演し第 48 回日本アカデミー賞最優秀主演 女優賞に輝いた河合優実、ドラマ「ライオンの隠れ家」での演技が高く評価され、映画・ドラマで大ブレ イク中の若手実力派、坂東龍汰らが出演する。

子供はいつ大人になるのか――。早川監督が、子供の頃に自身が抱いていた感情を膨らませてつくりあ げた『ルノワール』は、空想と現実、大人と子供の狭間で揺れ動く 11 歳の研ぎ澄まされた感性を映し出し、 私たちが過去に置いてきた、遠い日の宝石のような記憶を呼び覚ます。また少女フキの視点からは、社会 が求める理想の家族像や人生観に縛られた大人たちの生き方が描写され、どうしようもない孤独を抱え、 それでも懸命に生きようとする彼らの姿のなかに、今の自分自身を重ねずにはいられない。 これは、かつて子供だった私たちのための、そして大人になった私たちのための映画だ。

【STORY】
不完全な大人たちの孤独や痛みに触れる、11 歳のひと夏。 うれしい、楽しい、寂しい、怖い。 そして、“哀しい”を知り、少女は大人になる。

1980 年代のある夏。11 歳のフキ(鈴木唯)は、両親と3人で郊外の家に暮らしている。父の圭司(リリ ー・フランキー)は闘病中のため入退院を繰り返し、母の詩子(石田ひかり)は家事と仕事に追われる 日々。そんなふたりのもとで、フキは得意の想像力を膨らませながら、自由気ままな日々を過ごしていた。

放課後、多忙な母に代わって父の病院に通うフキは、圭司を相手に大好きなテレパシーの練習をしたり、 医学書を読み込む手伝いをしたりと、いつしか病院で過ごすのが日課となっていた。病院では、他の患者 から思わぬ頼み事をされることもあれば、見舞い客たちが父についてこっそり話す声が聞こえることもあ った。

フキは様々な場所で、大人たちの世界を垣間見る。同じマンションに住む久里子(河合優実)が、哀し みに暮れた表情でベランダから下を見下ろす姿に気付いたフキは、思わず彼女に声をかける。「なんで哀 しいんですか?」催眠術の真似事をしながらそう問いかけるフキを相手に、久里子は誰にも話せずにいた ある秘密をゆっくりと打ち明け始める。

またある時は、母親が仕事の研修で知り合ったという男性、御前崎(中島歩)と対面する。御前崎との 会食で、いつもと違う様子の詩子に何かを察したフキは、子供なりの方法で二人の仲を引き裂こうと画策 する。

夏休みに入り、家でひとりきりで過ごす時間が増えたフキは、伝言ダイヤルのメッセージを聞く行為に 夢中になる。見知らぬ大人たちが残した無数の声を聞くのは、とにかく刺激的だった。だがふとした出来 心から自分でもメッセージを残したフキは、自称大学生の薫(坂東龍汰)と知り合い、一度会えないかと 誘われる……。

そんなある日、フキはリビングで自分用の喪服が入った紙袋を見つけてしまう。一方圭司は、治療の一 環として大金をつぎ込み、フキと気功道場に通い始めるが、それを知った詩子はこれまで溜めていた怒り を爆発させてしまう。夫婦間に大きな溝が生まれ、フキの日常は否応なしに揺らいでいく。

作品情報監督・脚本:早川千絵

エグゼクティブ・プロデューサー:小西啓介 水野詠子 國實瑞惠 木下昌秀 小林栄太朗 Jossette C. Atayde Maria Sophia Atayde-Marudo Fran Borgia プロデューサー:水野詠子 Jason Gray 小西啓介 Christophe Bruncher Fran Borgia
コ・プロデューサー:Jossette C. Atayde Alemberg Ang Olivier Père Rémi Burah Yulia Evina Bhara Amerta Kusuma Amel Lacombe アソシエイト・プロデューサー:山根美加 ラインプロデューサー:金森保
撮影:浦田秀穂 編集:Anne Klotz 美術:三ツ松けいこ 装飾: 秋元早苗 照明:常谷良男 録音:Dana Farzanehpour
衣装:宮本まさ江 ヘアメイクデザイナー: 橋本申二 制作担当:金子堅太郎 助監督:佐藤匡太郎 キャスティング:杉野剛 サウンドデザイン:Philippe Grivel Yves Servageant フォーリー:Xavier Drouot 音楽: Rémi Boubal 製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛俱楽部 KINOFACTION テンカラット
Ici et Là Productions/Akanga Film Asia/Nathan Studios/Daluyong Studios/ARTE France Cinema/KawanKawan Media/Panoranime 企画・制作:ローデッド・フィルムズ 制作協力プロダクション:キリシマ1945 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)
© 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners

製作年:2025 年/製作国:日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシア、カタール/上映時間:122 分 スクリーンサイズ:ヨーロピアンビスタ/音声:5.1ch/言語:日本語、英語/英題:RENOIR/映倫:G
出演
鈴木唯
石田ひかり 中島歩 河合優実 坂東龍汰 / リリー・フランキー
Hana Hope 高梨琴乃 西原亜希 谷川昭一朗 宮下今日子 中村恩恵
公式サイトhttps://happinet-phantom.com/renoir/

ルノワール