上映期間|3月31日(金)〜4月11日(火) ※水・木曜定休
〈INTRODUCTION〉
今日、私はさよならする。 世界のすべてだったこの“学校”と、“恋”と。
廃校が決まり、校舎の取り壊しを目前に控えたとある地方高校、“最後の卒業式”までの2日間。 別れの匂いに満ちた校舎で、世界のすべてだった“恋”にさよならを告げようとする4人の少女たち。 抗うことのできない別れを受け入れ、それぞれが秘めた想いを形にする。 ある少女は進路の違いで離れ離れになる彼氏に。 ある少女は中学から片思いの同級生に。 ある少女は密かに想いを寄せる先生に。 しかし、卒業生代表の答辞を担当するまなみは、 どうしても伝えられない彼への“想い”を抱えていたー。
『桐島、部活やめるってよ』 『カランコエの花』 『サマーフィルムにのって』 原作:朝井リョウ × 監督・脚本:中川駿 × 主演:河合優実
新たな青春恋愛映画の金字塔、誕生!
同世代のリアルな心情を鮮やかに描き出し、共感を呼ぶ作品を発表し続け『桐島、部活やめるって よ』や『何者』など映像化作品も数多の直木賞作家・朝井リョウの連作短編小説が、10年の時を経て 待望の映画化。青春時代に味わうすべての感情を詰め込んだ原作に感銘を受け、監督・脚本を手掛け たのは、高校生を主人公に描いた短編映画『カランコエの花』が国内映画祭で13冠を受賞し話題を呼 んだ中川駿。商業長編映画デビューとなる本作では、原作の持つ瑞々しさと甘酸っぱさをそのままに 群像劇へと構成を変え、繊細な少女たちの心の機微を丁寧に描き出す。 彼氏へのある“想い”を抱えながら卒業生代表の答辞を担当する料理部部長の主人公・山城まなみを演 じるのは、いま映画界を中心に熱視線を浴びる女優・河合優実。『サマーフィルムにのって』『由宇 子の天秤』で数々の映画祭の新人賞を受賞し、2022年には『ちょっと思い出しただけ』『PLAN 7 5』『ある男』など8本の映画に出演。本作で初主演を果たす。将来の夢のために進路の違いで彼氏と 離れることを選んだバスケ部の部長・後藤由貴役には、連ドラ初レギュラーとして出演した「中学聖 日記」で話題となり、『アルプススタンドのはしの方』での好演が記憶に新しい小野莉奈。軽音部の 部長で同じ部内の中学校からの同級生に恋心を抱く神田杏子役は、『ヤクザと家族 The Family』で 主人公の娘役で銀幕デビューした小宮山莉渚。クラスに馴染めず図書室に通いながら先生に密かな想 いを寄せる作田詩織役には、ミスiD出身で2021年には『かそけきサンカヨウ』など3本立て続けに出 演作が公開され注目を集める中井友望が演じる。 まなみの彼氏・佐藤駿役には『泣き虫しょったんの奇跡』で映画デビューして以来、映画やドラマで 活躍する窪塚愛流。神田が片思いする軽音部員の森崎剛士役には『ムーンライト・シャドウ』で話題 となり、俳優だけでなく歌手としても活動する佐藤緋美。バスケ部員で後藤の彼氏・寺田賢介役には 「オオカミくんには騙されない」で一躍注目を浴びて以降、舞台やドラマにも出演する宇佐卓真。そして、作田が恋焦がれ図書室を管理する現代文の先生・坂口優斗役には、『佐々木、イン、マイマイ ン』『くれなずめ』『空白』など数々の話題作に出演する藤原季節。次世代の日本映画界を担う逸材 が集結し、映画史に残る“卒業”をスクリーンに焼き付ける。 誰もが経験のある「卒業」と「恋の別れ」。後悔と希望を胸に迎える卒業式に、恋する喜びと切なさ を心に刻む少女たち。二度と戻れない“あの頃”の感情を呼び起こす、新たな青春恋愛映画の金字塔が 誕生した。
<STORY>
廃校により校舎の取り壊しが決まった島田高等学校、最後の卒業式まであと1日。体育館では卒業式 の予行演習が行われていた。リハーサルが始まっても、久々に顔をあわせた生徒たちの話は絶えずザ ワつくなか、「答辞。卒業生代表、山城まなみ」の一言で一瞬にして静まり返る。生徒会長でもない まなみが答辞を読むことは、全生徒にとって予想外だった。
朝一で彼氏の駿から声をかけられるも、どこか釈然としない表情をみせるまなみ。しかし、昼休みに 駿とまなみ特製の手作り弁当を食べることで笑みがこぼれる。料理部部長のまなみは、駿の分までお 弁当を作り、調理室で一緒に食べることが日課だった。
心理学の職につくことを夢に持ち、東京に進学することを決めたバスケ部の部長・後藤。小学校の先 生になるために地元に残る同じバスケ部の彼氏・寺田とは、進路の話をした3ヶ月前から気まずい空 気が流れ、ろくに会話もしない状況だった。喧嘩別れしたくない彼女は、卒業式の後、学校の屋上で 花火をしようと持ちかけ、明日一緒に登校する約束をする。
軽音部による毎年恒例の卒業ライブ。部長の神田は、後輩の小西から呼び出される。廊下に貼られた 「卒業ライブ出演バンド人気投票」の掲示物には、「ヘブンズドア」に圧倒的な票が投じられてい た。この人気投票で一番の票を集めたバンドが、この校舎で行われる最後の卒業ライブのトリを飾る ことが決められていた。そして選ばれた「ヘブンズドア」は、神田が中学から同級生の森崎がメイン ボーカルを担当するヴィジュアル系エアバンド。この結果は、一部の生徒による嫌がらせなのは明ら かだった。森崎以外のメンバーはライブへの出演を拒否し、森崎一人でステージに立つことに。そん な彼を気にかける神田は、一緒に下校しようと校門で待ち伏せする。彼女は、彼に中学から片思いを していた。その想いを噛みしめながら二人乗りで帰路につくのだった。
クラスに居場所がないまま卒業を迎えようとしている作田。淡い恋心を抱いていた図書室の管理をす る先生に、今日も会いに行く。3年間クラスメイトと話したくてもうまく話せず友達がつくれなかっ た作田にとって、先生は心の拠り所でもあった。明日卒業式を迎えるにあたり、学生時代に作田と同 じ境遇だったという先生からアドバイスをもらう。それは、「今日、自らクラスメイトに声をかけ る。ただし、相手の言うことに絶対同意しない」ということだった。作田は、意を決してクラスメイトに話しかける。その夜、偶然にも本屋の前で先生に会った作田は、アドバイス通りに実行に移すも うまくいかなかったことを報告する。そして、卒業間近に変わりたいという衝動に突き動かされたの は、まなみが答辞を読むことがきっかけだったと打ち明ける。
卒業式、当日。卒業生を送り出すのにふさわしく、桜は満開だ。 登校して調理室に向かったまなみは、お弁当を机の上に置き、調理室を後にする。隅の棚にはホコリ を被った国旗の楊枝が20本ほど貼り付けられており、何本かは剝がれかけていた。そして、そこに駿 の姿はなかった。
高校生最後の日にして初めて一緒に登校する後藤と寺田。後藤は思い出話で場を盛り上げようとする も、寺田によそよそしくそっけない態度をとられ、徐々に笑顔が作れなくなっていく。喧嘩の原因 は、後藤が東京に行くため一方的に別れを切り出したことだった。「明るく別れたかった」という後 藤に対して「勝手すぎる」という寺田。何も言えずその場に立ち尽くした後藤を置いたまま、寺田は 歩いていってしまう。
神田が登校すると、軽音部の部室が何やら騒々しい。「ヘブンズドア」の衣装とメイク道具がなくな っていたのだ。探しても見つからないまま、一旦卒業式に参加することに。
バスで一人登校する作田。手元にある管理シールの貼られた本を眺めていた。それは、作田にとって 持っているだけで力をくれる「魔法の本」だった。この本とも今日でお別れだ。
最後の卒業式。別れの悲しみと旅立ちへの希望、さまざまな想いを抱える生徒たちが、クラスごとに 一列で入場する。3年B組の最後を歩くのは、まなみだ。入場途中、まなみの様子が少しおかしい。動 揺を隠しきれず、いまにも泣きそうだ。答辞で名前を呼ばれたまなみは壇上にあがるが、動揺はおさ まらないままだった。
卒業式を終えた4人の少女たちは、それぞれの想いを形にしようとしていた。屋上で花火の準備をし て寺田を待つ後藤。卒業ライブに衣装もメイクもないまま、出番が近付く森崎を後押しする神田。 「魔法の本」を返却しに先生に会いに図書館を訪れる作田。そして、まなみは駿にさよならを告げる ため、体育館に一人佇んでいた…。
作品情報 | 脚本・監督:中川駿 原作:朝井リョウ「少女は卒業しない」(集英社文庫刊) 制作プロダクション:ダブ 配給:クロックワークス |
キャスト | 河合優実 小野莉奈 小宮山莉渚 中井友望 窪塚愛流 佐藤緋美 宇佐卓真 / 藤原季節 |
公式サイト | shoujo-sotsugyo.com |