伊木翔 氏(元 豊劇現場責任者)

豊岡劇場 現場責任者を務めていた伊木 翔と申します。
2012年3月末で一度閉館した映画館・豊岡劇場を復活させる【豊劇新生プロジェクト】の立ち上げから参加し、2014年末のリニューアルオープンから2022年8月末の休館までスタッフとして歴史ある劇場の日々を見つめてきました。
結論から言うと、厳しい経営状況を打破することができず営業を停止する判断となりました。コロナ禍にはたくさんのご支援をいただきながらこのような結果となってしまったことも合わせて改めて力不足を実感しています。「映画館で映画を観れる地域であり続けるために」を個人的なミッションに、ここまで映画館運営に携わってきて厳しさを目の当たりにしました。
そんな中、この映画館を引き継いで続けたいと言う方が現れたのです。それは一緒に働いているパートスタッフさんでした。「厳しいのはこの先も変わらない。取り下げるなら今のうちですよ」と何度も止めました。それでも彼女は挑戦する姿勢を変えません。周りからいろんな意見を受け止め、時には両極端なアドバイスに苦しみながらも今もなお、再開に向けてゆっくりと歩みを進めています。
「地域に映画館は必要か」と聞かれると正直分かりません。なくてもいいかもしれない。けれど「映画館で映画を観る」と言う選択肢は、地域の豊かさにつながると確信しています。スクリーンに映る物語を同じ空間で共有することは、唯一無二の日常の中にある非日常体験です。小さな頃に連れて行ってもらった記憶は、きっと大人になった時の思い出として生き続けるものになる。そんな場所が地域にあること、在り続けることに価値がある。そう感じています
みんなで寄ってたかってこれからの豊岡劇場に関わっていく。映画を観ることはもちろん、ふらっと立ち寄る、ホームページやSNSを見てみる、話題に出してみる、なんでもいい。それがこの映画館が残るためにできること。
「映画館で映画を観れる地域であり続けるために」


塚本晋也(映画監督/俳優)

大小さまざまなカタチの映画を理想的な姿で届けるミニシアター。
表現の多様性を守る大切な場所です。
その夢の箱の灯りを絶やさないよう奮闘する皆さんにエールを送りたいです。
あのステキな豊岡劇場の再開。心待ちしてしております。


塩田時敏(映画評論家/監督)

    新生豊岡劇場に向かうため、京都から山陰本線に乗り換えた。クッソ遠いなぁと愚痴ていると、高校生の一団がガヤガヤ乗り込んできた。ルッセェなとムカつきながら、ふと思う。こいつら、何処で映画見るんだろう、と。
  高校時代、学校をサボりススキノの映画館に逃げ込んだ。そこで人生の全てを学習した。だからお前みたいなクズが生まれたんだ、とツッコむなかれ。映画館には決して学校では学べない真実がある。映画館で見られない高校生は不憫でならない。
  時代も変わりオンラインは効率的だが、しかし皮膚からしか染みぬ。映画は内蔵で感じるもの。映画館では骨身に染みわたる。これからの若い奴らの為にこそ、“新生”新生豊岡劇場の復活を祈る。


由利安樹子(京都峰山ドライビングスール 代表)

当校は京丹後市で自動車学校を運営しております、峰山ドライビングスクールです。弊社は2022年1月26日コープデイズ豊岡様1階に受付センターを開設いたしました。但馬地域の方々に貢献できる営業所となることを目標に掲げ、日々邁進しております。そんなおり、豊岡劇場様のお話を知り「みんなでつくる、みんなの豊劇」、「但馬から映画館を無くしてはいけない」その想いに共感し、法人サポーターとして参加させていただくことになりました。自動車学校は交通安全教育を通じて安全運転の心を育成し、社会に貢献する事が重要な使命です。地域貢献・発展することで、豊岡劇場様を皆様と一緒にサポートしていく所存でございます。


小暮宣雄(京都橘大学名誉教授)

 私は、豊岡劇場に行ったこともありません。でも、まちに様々な文化体験ができる場があることが、生きるための多様性を保障し、世界の平和だったり、崩壊しない地球環境だったりにつながっていると信じています。
 映画文化体験についても、一見選択肢が多いようで、実はある方向に誘導されてしまっているかも知れません。
 最近、雑草について考え観察しています。栽培種は、同じ時に実り人間に都合よく収穫されるように画一化されます。そのため、大きな変化があると収穫できなくなります。雑草は、発芽の時期も色々で、普通だったら育たないような場所でも生き延びようとします。
 映画の鑑賞も、同じ時期に一気に流行するものだけではなく、思いがけない時期に、雑多な作品に出会うということが、地域文化に多様性を生み、生き延びるまちを作ることになるのだろうと思っています。
 雑草のような映画館。私の勝手なこじつけかも知れませんが、豊岡劇場は雑草映画館ではないかと妄想しています。

 雑草のように生き延びよ、豊岡劇場
 雑多な映画体験の種子を風に乗せて


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