すべて、至るところにある

上映期間|3月22日(金)〜4月3日(水) 


【INTRODUCTION】
旧ユーゴスラビアの巨大建造物を背景に、現実と虚構を行き来するラブサスペンス!
パンデミック、戦争、混沌とした現代に問いかけるサイバーパンクな叙事詩──

 大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。未知の場所をひとりで訪ね、その場所の人々と出会い、その土地の、その瞬間を切り取っていく前代未聞の制作スタイルの原点になったのが、バルカン半島だ。

 妻に逃げられたトルコ人男性を主軸に、東ヨーロッパで現地の人びとと即興で作り上げた異色ドラマ『どこでもない、ここしかない』(2018)で、即興性を取り入れた制作スタイルを取り入れた。続くバルカン半島2作目は、アジア人女性のバックパッカーの目を通して、バルカン半島の歴史と変化に翻弄された人々の生活を映し出したロードムービー『いつか、どこかで』(2019)で、そのスタイルを確立した。

3部作の完結編となるのが『すべて、至るところにある』は、その集大成ともいうべき完結編だ。

ある映画監督の消息を訪ねてバルカン半島を旅する主人公エヴァ役に、『いつか、どこかで』の主役で2013年度ミスマカオのアデラ・ソー。エヴァをバルカン半島に再び呼び寄せるきっかけを作る、映画監督ジェイ役に、『COME & GO カム・アンド・ゴー』(2020)『あなたの微笑み』(2021)にも出演する、リム・カーワイ作品に欠かせない存在となっている尚玄。

 劇中の重要なキーアイテムとなるのは、リム監督がバルカン半島で撮影した、『どこでもない、ここしかない』と、アデラ・ソーが主演した映画『いつか、どこかで』だ。なんとジェイがエヴァを主役に撮影した映画として登場する。『どこでもない、ここしかない』に出演したトルコ人のフェデル(フェルディ・ルッビシ)がジェイの友人として登場し、ジェイとの思い出を語りだすなど、バルカン半島3部作が絡み合い、現実と虚構が混ざり異空間にいざなわれていく。

 本作は2020年に撮影されるはずであったが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックによりストップしてしまった。リム監督は、パンデミック、戦争という全世界が体験した未曾有の現実の中で感じた孤独を、映画監督のジェイに投影し、バルカン半島3部作の完結編を完成させた。

 バルカン半島はイタリア半島の海をはさんだ東側にあたる地域で、旧ユーゴスラビアの国が多数存在し、かつては「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれ、第一次大戦勃発の地となった場所である。バルカン半島3部作の見どころのひとつに、バルカン半島の美しい風景がある。本作では、セルビア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナを巡る中で、美しい景色、旧ユーゴスラビアの巨大建造物(スポメニック)、世界遺産となっているモスタルの橋などが映し出され、その雄大な風景に圧倒される。バルカン半島の文化、歴史を背景に、コロナ禍、戦争がもたらした人間の孤独と希望を映し出されていく。

国境と言葉を超えて映画を作り続ける、旅する映画監督(cinema drifter)リム・カーワイならではの無国籍映画の真骨頂ともいえる完結編が完成した。

【STORY】
 エヴァは旅先のバルカン半島で、映画監督のジェイと出会う。その後、パンデミックと戦争が世界を襲う。ジェイはエヴァにメッセージを残し、姿を消してしまう。エヴァはジェイを探しに再びバルカン半島を訪れ、かつてエヴァが出演した映画が『いつか、どこかで』というタイトルで完成していたことを知る。セルビア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナでジェイを探す中で、エヴァはジェイの過去と秘密を知ることになり…。

作品情報監督・プロデューサー・脚本・編集:リム・カーワイ
撮影:ヴラダン・イリチュコヴィッチ 録音・サウンドデザイン:ボリス・スーラン 音楽:石川潤
宣伝デザイン:阿部宏史 配給:Cinema Drifters 宣伝:大福
2023|日本|カラー|DCP|5.1ch|88分 ©cinemadrifters
出演アデラ・ソー(蘇嘉慧) 尚玄 イン・ジアン(蔣瑩)
公式サイトhttps://balkantrilogy.wixsite.com/etew