上映期間|4月11日(金)〜4月23日(水)



【INTRODUCTION】
日本文学界最後の巨人・筒井康隆による老人文学の傑作『敵』に『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の吉田大八が挑む。俳優歴 50 年を迎える長塚京三が、12 年ぶりに映画主演を務め、熟練のスタッフと俳優たちが紡ぐ、人生最期の「讃歌」。
【STORY】
渡辺儀助、77 歳。大学を辞して 10 年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻・信子に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。講演や執筆で僅かな収入を得ながら、預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考えている。毎日の料理を自分でつくり、晩酌を楽しむ。朝起きる時間、食事の内容、食材の買い出し、使う食器、お金の使い方、書斎に並ぶ書籍、文房具一つに至るまでこだわり、丹念に扱う。麺類を好み、そばを好んで食す。たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずかしい思いもする。食後には豆を挽いて珈琲を飲む。食間に飲むことは稀である。使い切ることもできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子の椛島は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理なども手伝ってくれるし、時に同じく元教え子の鷹司靖子を招いてディナーを振る舞う。後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの湯島と酒を飲む。そこで出会ったフランス文学を専攻する大学生・菅井歩美に会うためでもある。できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。やがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――。
作品情報 | 脚本・監督:吉田大八 原作:筒井康隆『敵』(新潮文庫刊) 企画・プロデュース:小澤祐治 プロデューサー:江守徹 撮影:四宮秀俊 照明:秋山恵二郎 美術:富田麻友美 装飾:羽場しおり 録音:伊豆田廉明 編集:曽根俊一 サウンドデザイン:浅梨なおこ 衣裳:宮本茉莉 ヘアメイク:酒井夢月 フードスタイリスト:飯島奈 美 助監督:松尾崇 キャスティング:田端利江 アクション:小原剛 ガンエフェクト:納富貴久男 ロケーションコーディネーター:鈴木和晶 音楽:千葉広樹 音楽プロデューサー:濱野睦美 VFX スーパーバイザー:白石哲也 制作プロデューサー:石塚正悟 アシスタントプロデューサー:坂田航 企画・製作:ギークピクチュアズ 制作プロダクション:ギークサイト 宣伝・配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ 製作:「敵」製作委員会 ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA |
出演 | 長塚京三 瀧内公美 河合優実 黒沢あすか 中島歩 カトウシンスケ 髙畑遊 二瓶鮫一 髙橋洋 唯野未歩子 戸田昌宏 松永大輔 松尾諭 松尾貴史 |
公式サイト | https://happinet-phantom.com/teki |